相続税申告傾向と対策

相続税の課税割合

東京国税局から公表されている相続税の申告状況データをもとに、相続税の申告割合や相続税額の傾向を見ていきましょう。

東京国税局から公表されている平成24年度以降の相続税の課税割合と申告書の提出割合は、次のとおりです。

【相続税の課税割合と申告書提出割合】

税務署に提出される相続税申告書には、申告書の提出及び相続税を納付する場合と、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用により申告書は提出するが相続税の納付はしないという2つのケースがあります。どちらのケースも相続税申告書を提出する必要があります。

ケース課税割合申告書提出割合
相続税を納付する含む含む
特例の適用により、相続税を納付しない含まない

課税割合の状況

課税割合とは、亡くなった方のうち相続税の申告書を提出し相続税が課税された割合を示します。

平成27年1月より相続税の基礎控除額が約6割引き下げられた結果、相続税の課税割合が7%台から13%近くへ大幅に増加しています。

【基礎控除額の引き下げ】

5000万円+1000万円×法定相続人の数

3000万円+600万円×法定相続人の数

申告書提出割合の状況

また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用することで基礎控除額以下の財産評価額となる場合には、相続税は課税されませんが、相続税申告書を提出する必要があります。この相続税額のない申告書のケースを含めた申告書提出割合は17%台となっています。

相続が発生した場合、そのうちの約2割が相続税申告書を提出しているということです。

【申告書提出割合が示唆する相続対策】

傾向対策
相続税の約2割が申告書を作成及び提出しているこれからは、身近な税金である相続税について理解を深め準備をすすめる

従来、相続税はいわゆる資産家に対して課税される税金というイメージがありましたが、これからは、身近な税金として考えるべきでしょう。

将来起こりうる相続に備えて、相続税がどのような仕組みで課税されるものなのか、また、多額な相続税を負担する可能性に対してどのような対策があるのかなどについて理解を深め準備を進めておく必要があります。

全国平均と東京国税局の比較

参考までに、次の表で相続税の課税割合について国税庁が公表している全国平均と東京国税局分を対比してみました。東京は全国平均の1.5倍超の課税割合となっています。

【相続税の課税割合について全国平均との比較】

被相続人一人あたり相続税額

被相続人1人当たりの相続税額は、平成26年は3501万円でしたが、平成27年の基礎控除額の引き下げにより、2364万円と大きく減少しました。

これは、相続税改正によりこれまでなら課税対象とならなかった課税価格の少ない被相続人が多く含まれたことを示しいています。

また、相続税の納付は、原則一括現金納付です。相続が発生した場合、相続税額の資金の手当が大きな問題となることが読み取れます。

【被相続人一人あたり相続税額】

【一人あたり相続税額が示唆する相続対策】

傾向対策
数千万の相続税を現金一括納付相続人の納税資金をどのように手当するか

相続財産の内容

平成28年度の相続財産の金額構成比は、土地が約40%、現金・預貯金が30%ととなっています。
【相続財産の内訳】

【財産の内訳が示唆する相続対策】

傾向対策
土地の割合が高い換金性のない土地をどのように相続するか
現金預貯金の割合が高い相続人にどんな資産を残すのか(節税効果のある資産を残すにはどうしたらよいか)
生前贈与など財産の有効活用

土地の割合が高い

相続財産で大きな割合を占めている土地は、換金性がないことと細かくできないという性質があります。このため、複数の相続人が複数いる場合には、「誰にどのようにして相続するか」が遺産分割の際のポイントになっていることが分かります。

現金預金の割合が高い

また、現金預貯金等が30%超と非常に高い割合を示しています。
相続財産は原則、時価で評価します。一般的に、財産を現預金からモノに変えることで評価額を切り下げることができる場合が珍しくありません。

このため節税という観点からは、相続財産のプランニング、「相続人にどんな資産を残すのか」という検討が不十分な可能性があります。

当然、老後の生活の不安等のためにある程度の預貯金は必要です。

しかし、預貯金のまま財産を眠らせておくのではなく、「財産の有効活用」、例えば、生前に子や孫への贈与といった財産の有効活用を検討する余地があるかもしれません。