同族株主の判定
目次
株主の区分
株主の区分は、株式発行会社に同族株主がいるかどうかで判定手続きが異なります。
同族株主がいる会社は、特定の株主グループに株式が集中している状態の会社、一方、同族会社がいない会社とは、株式が比較的分散している状況にある会社であるためです。
【まとめー表形式】
これをフローチャート形式で示すと次のようになります。
【同族株主がいる会社】
【同族株主がいない会社】
同族株主がいるかどうかの判定
会社の株主構成から、同族株主がいるかどうかを判定します。筆頭株主グループが保有する議決権割合が30%以上である場合には、「同族株主がいる会社」、30%未満であれば「同族株主がいない会社」となります。
筆頭株主グループ=同族株主とは
同族株主とは、評価会社の議決権の数を合計で30%以上所有する次の1~3のグループ(50%超所有するグループがいる場合は、そのグループのみ)をいいます。
- 株主等
- 株主等の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)等
- 株主の特殊関係者
- 同族関係者が議決権の数を50%超所有する会社
ただし、議決権数を50%超所有するグループがいる場合は、そのグループのみが、同族株主になり、それ以外は、たとえ30%以上保有していても同族株主以外の株主になります。
議決権数が30%以上のグループが複数ある場合は、それぞれが同族株主になります。
株式取得者単独で支配力を有している(=同族株主である)かどうかを判定するのではなく、同じ株主グループに属する株主が同族株主に該当するかどうかによって判定します。
同族株主がいる場合の株主の区分
株式取得者が同族株主に該当するか
株式の取得者が、株式の取得者がどの株主グループに属しているかどうかで同族株主に該当するかどうかを判定します。
取得者が属する株主グループの議決権割合が30%未満の場合には、同族株主以外の株主(経営を支配する権利のない株主)となり、例外的評価方式を適用します。30%以上のグループに属している場合には、次の詳細な検討を行います。
ただし、筆頭株主グループの議決権保有割合が50%超である場合には、他の株主グループに属している株主は同族株主以外の株主に区分されるので注意しましょう。この場合には、30%以上所有しているグループに属していても同族株主以外の株主に区分されます。50%超の議決権を所有しているグループが単独で経営を支配していると考えるからです。
株式取得者が支配株主に該当するか
取得後の議決権割合が5%以上であるか、中心的な同族株主がいるか、役員等であるかどうかによって、株式取得者が、支配株主に該当するかどうかを判定します。
取得後の議決権割合が5%未満で、かつ、他に中心的な同族株主が存在し、かつ、取得者が役員でない場合に、少数株主に区分され特例的評価方法を適用することになります。
中心的な同族株主とは
中心的な同族株主とは、評価会社の議決権の数を合計25%以上所有する次の1~3のグループをいいます。
- 株主等
- 株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族(甥、姪は対象外)
- 1および2の者が議決権の数を25%以上所有する会社
役員とは
役員の範囲は、次の通りです。
- 社長、理事長
- 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
- 副社長、専務、常務、その他これに準ずる職制上の地位を有する役員
- 取締役(委員会設置会社の取締役に限る)、会計参与及び監査役並びに監事
したがって、平取締役、使用人兼務役員は役員に含まれません。
また、課税時期にその会社の役員ではなく、また法定申告期限までの間においても役員でないことが必要です。
同族株主がいない場合の株主の区分
株式取得者が同族株主等であるか判定
株式取得者が、同族株主等に該当するかどうかは、所有者が属する株主グループの議決権割合が15%以上である場合には、同族株主等の株主に区分され、次の詳細な検討をおこないます。15%未満であれば、同族株主等以外の株主として特例的評価方式を適用します。
株式取得者が支配株主に該当するか
この詳細な検討は、取得後の議決権割合が5%以上であるか、中心的な株主がいるか、役員等であるかどうかによって、株式取得者が、支配株主に該当するかどうかを判定します。
取得後の議決権割合が5%未満で、かつ、他に中心的な株主が存在し、かつ、取得者が役員でない場合に、少数株主に区分され特例的評価方法を適用することになります。
中心的な株主とは
中心的な株主とは、株主の1人及びその「同族関係者」の有する議決権の合計議決権割合が、議決権総数の15%以上であり、かつ1人で10%以上の議決権を所有している株主をいいます。
役員とは
役員の定義及び範囲は、同族株主がいる場合の判定手続きの場合と同じです。