時価と異なる取引:課税上の留意事項

みなし贈与(相続税)

個人⇄個人の場合(相続税法第7条)

著しく低い価額の対価で財産の譲渡があった場合には、その対価と時価との差額について 贈与等があったとみなされます。

個人⇄法人の場合(相続税法第9条)

同族会社が受贈または低額譲受による資産の取得により株式等の価額が増加する場合には、増加した部分に相当する金額を株主は贈与されたとみなし、増加部分について株主に対して贈与税が課税されます。

みなし譲渡課税(所得税)

個人から法人へ低額譲渡した場合に、時価と譲渡価額の差額に対して所得税が課税されます。

このみなし譲渡所得課税が課される場合は、次の通りです。

  1. 売主が個人で買主が法人の場合、かつ、
  2. 譲渡価額が時価の2分の1未満の場合

ただし、ただし、時価の2分の1以上の対価で法人に譲渡した場合であっても、その譲渡が「同族会社等の行為又は計算の否認」の規定に該当する場合には、「みなし譲渡所得課税」が課税されます(同族会社への譲渡である場合には、売主の個人の所得税を不当に減少させると認められるときは、時価で譲渡したものとして所得税が課税される)。

役員に対する低額譲渡(法人税)

中小企業では、役員に対する報酬や賞与の増減により比較的容易に法人の利益を調整することが可能なため、法人税法においては役員報酬、役員賞与について損金算入に制限がかけられています。

損金算入できる役員報酬には、次の3つがあります。

  1. 定期同額給与
  2. 事前確定届出給与
  3. 利益連動給与

中小企業の場合、定期同額給与か事前確定届出給与の場合が一般的です。

法人が役員に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれます。経済的な利益には、低額譲渡における時価と譲渡価額との差額、資産の贈与に係る資産の時価、債権の放棄額・免除額などが含まれます。

法人が役員に資産の低額譲渡をした場合、上記の1に該当するかどうか、つまり、経済的な利益の額が一定しているかどうかによって扱い方が異なります。

役員に対する経済的な利益の額が毎月一定している場合、役員賞与として処理し、損金の額に算入することができますが、それ以外の場合には、給与額は損金の額に算入することができません。

特殊な関係にある使用人に対する過大給与の損金不算入

役員に対する給与については、損金算入に制限を設けていますが、使用人に対する給与については、原則として、損金算入を認めています。ただし、役員と特殊な関係にある使用人に対して支給する給与については、その給与の額のうち不相当に高額と認められる部分の金額については、損金の額に算入しないという取扱いを設けています。

特殊な関係にある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含みます)の額のうち職務の内容や同種同規模の会社の支給状況と比べて不相当に高額な部分の金額と判断される金額は、損金の額に算入することができないと定めています。

このため、法人が従業員に資産の低額譲渡をした場合で、不当に高額な給与と判断される場合には、役員の場合と同様に損金に算入することができません。

特殊な関係のある使用人とは、

役員の親族である使用人の範囲

  1. 役員の親族
  2. 役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者
  3. 上記1又は2以外の者で役員から生計の支援を受けている者
  4. 上記2又は3の者と生計を一にするこれらの者の親族

「生計の支援」とは、生活を一にするより広範囲のもので、その役員から給付を受ける金銭等またはその運用による収入を生活費に充てている者をいいます。