死因贈与
相続税が課せられる死因贈与
死因贈与とは、「私が死んだ時に、私の〇〇の財産をあげる」という贈与をいいます。死因贈与は法形式上では贈与という契約によるものです。死因贈与は遺贈と同じように被相続人の死亡によって財産の移転の効力が生じるため、遺贈に関する規定が準用され贈与税ではなく相続税が課税されます(民法554、相法1の3①)
【贈与と相続税】
財産の移転 | 課される税金 | |
---|---|---|
相続 | 相続税 | |
遺贈 | ||
贈与 | 死因贈与 | |
死因贈与以外 | 贈与税 |
遺贈と死因贈与の違い
遺贈するには、遺贈者の意思を明確にするために法律が定める厳格な方式に従って作成される遺言書が必要です。一方、死因贈与は契約行為であるため契約の当事者間の口頭による合意で成立します(民法549)。ただし、後日のトラブルを避けるために合意の内容を書面にしておくことが望まれます。
死因贈与は法形式上では贈与という契約によるものであるため、死因贈与によって取得した不動産の登録免許税率や不動産取得税率(どちらも固定資産税評価額に対する税率です)は、贈与によって取得した財産として取り扱います。
遺贈と死因贈与の相違点は、以下の表のようになります。
【遺贈と死因贈与の相違点】
遺贈 | 死因贈与 | |
---|---|---|
内容 | 遺言による贈与 | 死亡を原因とする贈与契約 |
法的性質 | 単独行為 (もらう人の合意は不要) | 契約行為 (両者の合意が必要) |
方式 | 民法が定める厳格な方式に従う必要がある | 方式には定めがない |
意思確認 | 遺言者の単独の意思表示 | 贈与者と受贈者の双方の合意 |
取り消し | いつでも遺言の方式で取り消しが可能 | できる。 ただし、負担付死因贈与の(例えば、生前に面倒を見てくれることを負担=条件とする)場合に、すでに負担が履行されている場合には取り消しできない |
承認・放棄 | 受贈者は、限定承認や放棄できる(民法986①、987) | 契約であるため、限定承認や放棄の規定は適用されない |
不動産登記 | 遺言者の生前中には登記できない | 贈与者の生前に仮登記(所有権移転請求権保全の仮登記)ができる |
不動産の登録免許税 | 固定資産税評価額の 法定相続人・・・・0.4% 法定相続人以外・・2% | 固定資産税評価額の |
不動産取得税 | 固定資産税評価額の 法定相続人・・・・非課税 法定相続人以外・・4% | 固定資産税評価額の |
【固定資産取得税の課税関係(地方税法73の7①)】
相続 | 遺贈 | 特定贈与 | |
---|---|---|---|
相続人 | 非課税 | 非課税 | 非課税 |
相続人以外 | ー | 非課税 | 課税 |
法人に対する死因贈与
法人に対する死因贈与は法人に対する無償譲渡となるため、被相続人から法人に対して死因贈与した財産を時価で譲渡したとみなし譲渡所得の課税対象となります。被相続人が譲渡所得税の納税義務を負うので、相続人が準確定申告を行う必要があります。