相続財産に加算する生前贈与財産

「相続開始3年以内」と「相続時精算課税を適用した」生前贈与財産は相続財産に加算する

被相続人から生前贈与を受けた財産のうち、

  • 「相続開始3年以内の贈与財産」
  • 「相続時精算課税を適用した贈与財産」

があるときには、その者の相続税の課税価格に贈与財産の贈与の時の価額を加算します。また、その加算した贈与財産に対する贈与税額は相続税額から控除することができます。

相続税の課税対象となる贈与財産

*1 相続等で財産を取得した者ですから、法定相続人ではないが遺言書で財産を取得した者、生命保険金だけを受け取った者が含まれます。逆に、法定相続人であっても相続で財産を取得していなければ生前贈与の加算対象となりません。

*2 相続等により財産を取得したかどうかを問いません。例えば、祖父から孫へ相続時精算課税で贈与していた場合、孫が相続等で財産を取得していなくとも加算します。

暦年贈与について>>詳しくはコチラ

相続時精算課税制度の適用をした贈与について>>詳しくはコチラ

贈与税の納税猶予を受けていた贈与財産

被相続人から農地や非上場株式等の贈与を受け、かつ、納税猶予を受けていた贈与財産は、贈与者の相続開始によって贈与税が免除され相続税の課税対象となります。

相続財産に加算する贈与財産:納税猶予の贈与財産

贈与税の申告内容の開示請求

自分以外の相続人が被相続人から受けていた贈与の金額等について税務署長に対して開示請求できる制度があります(相法49、相令27①)。

贈与税の申告内容の開示制度

 

暦年贈与

1 暦年贈与の税額計算

贈与税は、贈与財産の課税価格の合計額から基礎控除(110万円)と配偶者控除を控除した額に税率を乗じて算出します。

  • 課税価格は、その年の1月1日から12月31日までの間に贈与によって取得した財産の合計額です。
  • 課税価格が110万円を超えない場合には贈与税の申告は不要です。
  • 贈与税の配偶者控除を受ける場合には金額にかかわらず贈与税の申告が必要です。

課税価格=贈与財産の課税価格合計額−配偶者控除額−基礎控除額

贈与税額=課税価格×税率−速算表控除額

* 基礎控除額は110万円

* 税率には一般税率と特例税率があります。

例えば、20歳以上の子が父から1,000万円の暦年贈与を受けた場合

(1,000万円−110万円)×30%−90万円=177万円

速算表

贈与税の速算表

贈与税の速算表

*1 特例税率とは、その年の11日時点で20歳以上の者がその直系尊属から受ける贈与に適用します。一般税率よりも低い税率での贈与が可能になっています。

複数人から暦年贈与を受けた場合

暦年課税の贈与は、その1年間に受け取った贈与財産の合計額から110万円の基礎基礎控除額を控除した残額に対して課税されます(相法21の2、措法70の2の4)。

したがって、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、その受け取った贈与財産の合計額から控除できる基礎控除額は贈与者の人数にかかわらず110万円が限度です。例えば、父から100万円、母から50万円の合計150万円の贈与を受けた場合には、(100万円+50万円)−110万円=40万円が贈与の課税対象となります。

贈与税の負担率

贈与税額に応じた贈与税の負担率は、次表の通りです。相続税と贈与税をあわせたトータルでの税負担を軽減するためには、次のことがいえます。

  • 贈与税の負担率<相続税の負担率となる贈与は、贈与税を支払ってでも贈与する方が有利である。
  • 贈与を繰り返すことで、相続財産自体が減少するため相続税の負担率が下がる効果が得られる。

暦年贈与の税負担率

贈与税の負担率

贈与税の負担率

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