死因贈与

相続税が課せられる死因贈与

死因贈与とは、被相続人と受贈者の間で、「私が死んだ時に、〇〇の財産を君に無償であげる」という贈与契約を生前に結ぶことをいいます。

死因贈与は遺贈と同じように被相続人の死亡によって財産の移転の効力が生じます。このため、死因贈与には遺贈に関する規定が準用され、贈与税ではなく相続税が課税されます(民法554、相法13)。

【贈与と相続税】

財産の移転課される税金
相続相続税
遺贈
贈与死因贈与
死因贈与以外贈与税

遺贈と死因贈与の違い

死因贈与には要式が定められていない

遺贈するには、遺贈者の意思を明確にするために法律が定める厳格な方式に従って作成される遺言書が必要です。一方、死因贈与は契約行為であるため契約の当事者間の口頭による合意で成立します。ただし、後日のトラブルを避けるために一般的には契約書を作成することが望まれます。

契約書がない口頭による死因贈与の場合には、死因贈与契約があったことが立証でき、相続人らがこれを承諾している場合には、死因贈与を原因とする不動産の所有権の移転登記をすることができ、相続税の課税対象となります。したがって、死因贈与契約があったことをどのように立証するかがポイントになります。

死因贈与は法形式上では贈与という契約によるものであるため、相続税法以外では遺贈と同じ取り扱いをすることにはなっていません。例えば、死因贈与によって取得した不動産の登録免許税率や不動産取得税率(どちらも固定資産税評価額に対する税率です)は、贈与によって取得した財産として取り扱います。

【遺贈と死因贈与の相違点】

 遺贈死因贈与
内容遺言による贈与死亡を原因とする贈与契約
法的性質単独行為
(もらう人の合意は不要)
契約
(両者の合意が必要)
方式遺言書書面または口頭による合意
意思確認遺言者の単独の意思表示贈与者と受贈者の双方の合意
取り消しいつでも遺言の方式で取り消しが可能できる。
ただし、負担付死因贈与の(例えば、生前に面倒を見てくれることを負担=条件とする)場合に、すでに負担が履行されている場合には取り消しできない
承認・放棄受贈者は、限定承認や放棄できる受贈者の意思による契約であるため、承認や放棄の規定は適用されない
不動産登記遺言者の生前中には登記できない贈与者の生前に仮登記(所有権移転請求権保全の仮登記)ができる
不動産の登録免許税固定資産税評価額の
相続人・・0.4%
相続人以外・・2%
固定資産税評価額の2%(権利変動の原因が贈与となるため)
不動産取得税固定資産税評価額の
相続人・・非課税
相続人以外・・4%

固定資産税評価額の
居住用・・3%
非居住用・・4%

【固定資産取得税の課税関係(地方税法737①)】

 相続遺贈特定贈与
相続人非課税非課税非課税
相続人以外非課税課税

 

法人に対する死因贈与

個人が死因贈与により財産を取得したときは、相続税の対象となります。法人が取得したときは、受贈益に対し法人税が課税され、相続税の対象となりません。しかし、法人に対する無償譲渡であることから、所得税法上は時価で譲渡したものとみなされるため、被相続人から法人に対して死因贈与した財産を時価で譲渡したとみなし譲渡所得の課税対象となります。被相続人が納税義務を負うので、相続人が準確定申告を行う必要があります。